私は、渋谷のど真ん中で某集団塾アルバイトをしている大学生だ。そこで国語の授業をしているときに、得したなと感じることがあった。それは、幼少期を山の中で育ち、大学生になって上京してきたことである。なぜなら、両方の生活を経験したことで様々な知識や価値観に触れられたからである。
都心に住み、都心で遊ぶ小学生
渋谷校での夏期講習。その日に扱う教材は、夏休みに父と虫取りに行く少年の話であった。私にとってそのテーマは幼少期の風景として当たり前だったため、「男子なら想像つきやすいと思うけど虫取りってこういう感じだよね~」と、トラップに使うバナナやパイナップルを発酵させるときのにおいのやばさや、クワガタだと思って近づくとカブトムシの雌だったときのショック半端ない、などの虫取りあるあるから授業の導入につなげようとした。するとどうだろうか。生徒の9割5分の口はぽかんと空いたまま。井の頭公園のコイ達に餌をあげたことを思い出した。
田舎ならではの価値観
幼少期を山の中で過ごしたといっても、常に山にいたわけではなく、月に二回ほど帰省する祖父母の家が山の奥にあった。そこで、クヌギの木の見分け方、食べられる雑草の見分け方、甘い蜜を出す花がどこに生えているか、などなど色々なことを祖父に教えてもらった。それ以降、学校の帰り道にある植物、ふと座ったときに隣に生えている花。小学生の私にとって、ありとあらゆるものが、DSとおなじくらい価値のあるおもちゃに変わっていった。
ここまで結構かっこつけてアウトドアの知識マシマシ感をアピールしてきたが、正直ほとんど何も覚えていない。ググって出てきた知識を右にまとめておく。(覚えていたのは皮膚の薄いところに草をこすりつけて、ひりひりしなければ食べられることくらい。)
まとめ
話を戻すが、私は全くもって、小学生のころから渋谷で勉強にいそしんでいる子供たちを卑下しているわけではない。子供たちにとってその経験はかけがいのないものである。小学生のころからきちんと毎日塾に来て勉強する。それは当然、中学、高校、大学入試で好影響をもたらす。かく言う筆者も、就活のウェブテスト対策で、中学入試では当たり前のつるかめ算とやらに苦戦した。私が担当した生徒たちにとっては、朝飯前であろう。しかし、自然を楽しめる価値観を幼少期に与えられ、大学生になって新宿渋谷池袋を満喫できていることは、田舎出身で得したことなのかもしれない。