一橋大学男子バレーボール部のブログ

一橋大学男子バレーボール部のブログ

一橋大学体育会男子バレーボール部のブログです!

社会学って何ぞや

こんにちは、社会学部新2年生の羽鳥邦彦です。昨年のこの時期、社会学部って何勉強するのかな、そもそも社会学ってどんな学問なのかなって思いながら高 校卒業後の春休みをのんびり過ごしていたことを思い出します。そういうわけ で今回、少し新入生向けに、かつ普段ブログを読んでくれる方々にもわかりやす い話題を通して、「社会学って何?」ってことを軽く説明できたらなと思います。

さて、皆さんは、「トロッコ問題」についてご存じでしょうか。知らない方向け に簡単に説明すると、とあるところに、線路を走っていたトロッコがあるとしま す。しかしその途中で突然トロッコは制御不能になり、ブレーキがかからなくな ってしまいます。さらにトロッコの前方を確認すると、5人の作業員がこちらに 気付かず線路の上で作業しているのが見えました。要するに、このままでは 5 人 を轢いてしまうわけです。ただ、あなたは 5 人がいる地点よりも手前の位置に、 トロッコが曲がるための分岐点があることに気付きました。そこで曲がれば 5 人 は助かることになりますが、その分岐点の先にも一人の作業員が作業している ことにも気付いてしましました。つまり分岐点で曲がってしまうと前方にいた 作業員5人は助かりますが、代わりに曲がった先にいる一人はトロッコに轢か れることになります。このような状況の場合には、人は一体どのような行動をとるのが正解なのでしょうか?これが「トロッコ問題」です。

f:id:hitvolley:20220402220141j:plain


一見するとこのトロッコ問題は、「ある人を助けるために他の人を犠牲にするの は許されるのか?」という単なる倫理学的な問題に思えますし、結局は想像上の 問題で、こんな場面に直面することなんてないと考える方もいると思います。確 かにそれも正しい意見ではありますが、実は意外とこれから先の日常生活や社 会において、私たちに深く関係してくるのがトロッコ問題です。ここからは、社会学的な視点をもってトロッコ問題を見ていきましょう。

さて、今最も考えられている問題は、自動車の AI による完全自動運転に関する問題です。この自動運転は近い将来に実現すると考えられていますが、それにあ たってトロッコ問題正しい正解を考えなくてはいけなくなってしまいました。 AI というのは機械ですので、どのような状況下でもプログラムに則って一瞬の うちに正確な判断を下すことができます。つまり、トロッコ問題のような場面に 直面した場合にどちらの命を助けるべきかを、あらかじめ設計者やプログラマ ーが決めておかなければならないということです。
自動運転に伴って発生するトロッコ問題のようなものは数多く存在します。例えば、自動運転車が道路を進んでいたところ、後続車に追突されて猛スピードで 押し出されてしまったとします。目の前には車線が 2 つあるがどちらにもバイクが走っていて、1人はヘルメットを被っていますがもう1人はヘルメットを 被っていません。「もしこの2台のどちらかに追突してしまいそうな場合、一体 どちらにハンドルを切るのが正しいだろうか」という問題です。このような状況 では、ヘルメットを被っている方に追突した方がいいと思う人が多いと思いま すが、そうするとルールを守ってヘルメットを被った人の方が危険な目にあっ てしまうというおかしな事態が生まれてしまいます。


他にも自動運転車内部の人命に関わること問題もあります。例えば車に人ひとりが載っている状況で一本の橋を渡っているときに、数人の歩行者に追突しそ うになった場合、その車はそのまま歩行者に追突するか、それともハンドルを切 って自ら橋の下に落下するのかの選択肢があるとすると、一体この時車はどう すればいいのか、という問題です。助かる命の数を考えると、車が橋から落ちた 方がいいと思うかもしれませんが、このような状況に陥ったら自殺を選んでし まうような車に乗ってみたいとは思いません。


このようにトロッコ問題と似たような問題を、自動運転車の実現のために考え なくてはなりません。この問題の正確な結論は出ていませんが、どうするべきか という研究は少しずつ行われています。マサチューセッツ工科大学では研究チームがモラルマシンというサイトを作り、トロッコ問題を自動運転に応用し他 思考実験が行われています。このサイトでは、トロッコ問題のような状況に陥っ た場合、一体人はどちらを助け、どちらを犠牲にするのかを調査するためにいく つかのシチュエーションについて人がどう判断するのかのアンケートを取っています。

f:id:hitvolley:20220402220211j:plain


例えば車がそのまま進んでいくと障害物に当たって乗員は死んでしまうが、ハ ンドルを切ると歩行者が死んでしまう、という場合どちらを犠牲にするべきな のか、載っているのが犬や猫で、歩行者が人だったらどうするのか、信号を守っ ている老人と信号無視をする若者ではどちらを犠牲にするのか、他にも歩行者 がホームレスの場合や犯罪者の場合、金持ちの場合などなどこのサイトでは 様々なシチュエーションにおいて、人がどう選択するのかのアンケートがとら れています。その結果、世界中から 4000 万人以上の回答が得られ、そのうち 50万人からは年齢や性別、学歴や収入といった個人データも提供されている。まず、 動物よりは人間、少人数よりは多人数、高齢者よりは若者を助ける人が多いこと がわかりました。他にも国別にみると、日本のように治安のよい豊かな国では、「信号無視をしている歩行者は死んでも仕方がない」という意見が多かったり、 コロンビアのように貧富の差が激しい国では、ホームレスや犯罪者は見殺しに されることが多かったりと、国によって大きな違いが生まれることもわかりま した。このように自動運転には様々な社会的、倫理的問題があって、解決に向けて議論され続けています。


今紹介したのは社会科学の社会心理学的な側面ですが、これに分類される学問 領域としては国際社会学や教育社会学など様々なものがあります。一橋大学で は社会学部の中だけでも様々な学問領域が展開されています。自分の興味のあ る領域を見つけられると大学生活がより楽しくなると思います。


一橋大学男子バレーボール部では、新歓期にブログを毎日更新しています! 少しでもバレー部に興味を持った方は、Twitter の dm、Instagram の dm、メー ルなどでぜひご連絡ください!
     
 Twitter:@hvc_shinkan
  Instagram:@hvc_shinkan
  メール:hvcshinkan@gmail.com